系統用蓄電池の役割と仕組み
系統用蓄電池とは|再エネ普及と電力安定化を支える基幹システム
蓄電池は用途やサイズ、接続場所によって様々な種類があります。電力系統につないで利用されるのが「系統用蓄電池」です。この大規模な蓄電池を、再エネ発電所や基幹系統につなげば、電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電することで、系統電力の安定化を図ることができます。電力系統用の蓄電池を使うことで、電力の需給バランスを改善したり、再エネの導入可能な量を増やしたりすることが可能となります。
蓄電池は用途やサイズ、接続場所によって様々な種類があります。電力系統につないで利用されるのが「系統用蓄電池」です。この大規模な蓄電池を、再エネ発電所や基幹系統につなげば、電力が余った時には蓄電し、電力が不足した時には放電することで、系統電力の安定化を図ることができます。電力系統用の蓄電池を使うことで、電力の需給バランスを改善したり、再エネの導入可能な量を増やしたりすることが可能となります。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査
出典:経済産業省 資源エネルギー庁 再エネの安定化に役立つ「電力系統用蓄電池」
								
                                蓄電システムの種類
需要側 | 
                                      家庭用 | 
                                      需要家側に設置される蓄電システムのうち、戸建住宅向け、集合住宅向けに供される系統連系タイプの蓄電システム。 | 
                                    
業務・産業用蓄電池 | 
                                      商業施設・産業施設・公共施設に併設される電力貯蔵システム。バックアップ電源、無停電電源装置(UPS)に使用される蓄電池も含まれます。 | 
                                    |
系統用・再エネ併設用 | 
                                      系統用蓄電池 | 
                                      〈系統用〉系統側に設置され、系統安定化、周波数調整等に使用される系統直付けもしくは系統設備併設の蓄電システム。 | 
                                    
〈再エネ併設〉太陽光発電や風力発電のような再エネ発電所に併設される蓄電システム。 | 
                                    ||
その他(車載用・民生用) | 電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される蓄電池やPCや携帯、小型電気機器に搭載される蓄電池など | 
                                    |
系統用蓄電池を活用した新たなビジネスモデル
エネルギー分野のイノベーションと持続可能なエネルギー利用に貢献するものとして注目されています。
系統用蓄電池を活用したビジネスモデルは、電力の効率的な利用、再生可能エネルギーの普及、グリッドの安定化、そしてエネルギーコストの削減に貢献します。これらのモデルを通じて、電力市場や企業のエネルギー運用に新しい付加価値が提供され、持続可能な社会の実現に向けたビジネスチャンスが広がっています。
スワイプしてご覧いただけます。
| ビジネスモデルの例 | 概要 | 想定されるビジネス内容 | 
|---|---|---|
バーチャルパワープラント(VPP) | 
														分散型の蓄電池、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー資源をネットワークでつなぎ、まるで1つの大規模発電所のように制御する仕組みです。この仕組みにより、小規模発電設備の集約によるスケールメリット、電力の供給調整や余剰電力の取引を効率的に行うことが可能になります。 | エネルギー供給者やサービスプロバイダーは、系統用蓄電池を活用して、ピーク時に蓄電池から電力を供給し、電力価格が高いときに収益を上げることができます。また、電力需給のバランスを調整することで、グリッドの安定化にも貢献します。リアルタイムでエネルギーを最適化し、電力網全体の安定性を維持しながら収益を上げる手段として利用されています。 | 
ピークシフトやピークカットを活用したコスト削減モデル | 
														蓄電池を使い、電力需要のピーク時に電力網から電力を供給せず、あらかじめ蓄えておいた電力を利用するモデルです。電力料金が安い夜間や低負荷時に電力を蓄電し、ピーク時にそれを利用することで、エネルギーコストを削減できます。 | 企業向けのサービスとして、蓄電池を活用したエネルギーコスト削減をサポートするプラットフォームやソリューションが展開され、エネルギー管理のコンサルティングや運用サービスの提供がビジネスチャンスとなります。 | 
電力需給調整市場への参入 | 
														電力需給調整市場(需給調整市場や調整力市場)では、系統の周波数や電圧を安定化させるための電力供給や調整力が求められます。蓄電池は、この市場において迅速に対応できるリソースとなります。 | 系統用蓄電池を所有する企業やサービスプロバイダーは、電力会社に対して調整力を提供し、その対価として報酬を得ることができます。蓄電池は電力を迅速に出力または吸収することで周波数を調整し、系統の安定性を確保します。 | 
エネルギーアグリゲーションサービス | 
														エネルギーアグリゲーターは、複数の小規模な蓄電池や発電設備をまとめて大規模なエネルギー資源として管理・制御し、電力市場に参加します。蓄電池を多数の小規模エネルギー資源と組み合わせ、効率的に運用します。 | 分散型エネルギー資源(DER)を管理するプラットフォームやソリューション提供により、新たな収益源が生まれます。また、家庭や中小企業がエネルギーを有効活用できるよう支援するビジネスが拡大する可能性があります。 | 
電力取引プラットフォームの構築 | 
														蓄電池を活用して、電力の需給に応じたリアルタイムの取引を行うプラットフォームを提供するビジネスモデルです。電力価格が高いときに売電し、安いときに買電することで、取引差益を得ることが可能です。 | ブロックチェーン技術やAIを活用した電力取引プラットフォームの構築が進められており、これにより分散型エネルギーの売買が効率的に行われるようになります。企業や個人も参加できる分散型取引市場の創出が見込まれます。 | 
エネルギーシェアリングモデル | 
														企業や地域コミュニティ間で、余剰電力を蓄電池に貯めてシェアするモデルです。たとえば、複数のビルや工場、住宅で電力を効率的に分け合うことが可能になります。 | スマートグリッド技術やIoTを活用して、エネルギーの共有を支えるプラットフォームを提供する事業が発展しています。特に、エネルギーを持続可能に利用する都市型のプロジェクトや地方自治体との連携が注目されています。 | 
蓄電池を用いたエネルギーサービスプロバイダー(ESP) | 
														エネルギーサービスプロバイダー(ESP)は、蓄電池を活用し、顧客に対して安定的かつ経済的なエネルギーソリューションを提供します。具体的には蓄電池の導入や運用を支援、エネルギーマネジメントをサポートすることで、顧客のエネルギー利用を最適化します。 | 蓄電池の導入サポートやレンタルやリース、運用管理サービスを提供する新たなビジネスモデルが生まれます。顧客に初期投資を軽減させる形で、持続可能なエネルギーソリューションを提供するサービスが広がっています。 | 
蓄電池が参入可能なJEPX市場
									3つの市場収益で、蓄電池導入コストを回収
これまで蓄電池は、停電時のバックアップ電源というイメージが強くありました。しかし現在では、再生可能エネルギーの導入拡大により、電力市場では柔軟な需給調整が求められています。その中で、即時性と制御性を活かし、複数の市場で新たな価値を創出できる存在となっています。電力価格の変動を活かしたアービトラージはもちろん、調整力の提供やVPP(仮想発電所)としての統合運用など、蓄電池を活用したビジネスモデルは多様化しています。
- 価格差益の獲得(アービトラージ)
 - 調整力の提供による報酬収入
 - 自家消費最適化と市場売電の両立
 - 分散型エネルギーリソースとしての統合運用(VPP)
 
各市場における蓄電池の価値
| 市場名 | 主な蓄電池の価値 | 補足ポイント | 
|---|---|---|
| 容量市場 | 将来の供給力として評価(kW価値) | 長期安定収益源/ピーク電源の代替として機能 | 
| 需給調整市場 | 周波数調整・瞬時の出力制御(高速応答) | 高速・高精度な出力制御で需給バランスを安定化 | 
| 卸電力市場 | 電力価格差を活用したアービトラージ(kWh価値) | 安価な時間に充電 → 高価な時間に放電して利益を確保 | 


